初恋prime
ガラガラガラッ

日宮「…………ん?」

綾音「あっ…。」

少し怯えた様子で後ろを振り返った
日宮くん。

日宮「なーんだ、笹山さんだ!
   びっくりしたぁ!」

さっきの様子とはうってかわって

私を見たとたん笑顔になった彼。

綾音(変なの……。)

綾音「まだ、居たんだ」

日宮「うん、まだ終わってなくて…ヘヘッ」

綾音「そっか。」

日宮「それで、笹山さんは何しに来たの?   」

綾音「あっ、そうだ!傘を取りに来て…」

日宮「そうなんだ!そういえば、今日は、
   雨降るって言ってたもんね!
   僕も早く帰らなきゃ」 

綾音「うん。じゃあね」

日宮「バイバーイ」

不思議。いつも、学校にいる彼は大人しくて、あんまり人と話さないのに……。

今の彼は、こんなに明るかったんだって
思わせるほどのギャップがあった。

家に帰ろうと廊下を歩いてると

不意に彼の笑顔や、黒板を消している姿が
思い浮かんだ。

綾音「はぁ……。仕方ない。」

私は、後ろを振り返り自分の教室に戻った。

ガラッ!

日宮「笹山さん…?今度はどうしたの?」

タッタッタッ

綾音「早く帰らなきゃ、雨降るから。
   そんなノロノロやってたら、日がく   れるよ?手伝うわ」

日宮「あっ…。う、うん…。」

綾音「…………。」

ゴシゴシ

綾音「やっと、終ったぁ!」

日宮「お疲れさま。」

~下駄箱~

ザーッザーッ

もう、私達が帰る頃には大粒の雨が降っていた。

校庭もグシャグシャだ。

綾音「あー。降ってるね。」

日宮「だねー。」

綾音「あれ?傘持ってないの?」

日宮「うん。家に忘れちゃって。」

綾音「仕方ないなー。あたしの傘使いな」

日宮「っでも、笹山さんは?」
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