愛してると囁いて【短編】
「え…それだけでいいの?」


「うん」


「で、本物って何?」



ヤバイ、上手くいきすぎて笑える。



「じゃ、まず今日のイベントの解答を言おう!」


「う、うん……」



ドキドキと心臓が聞こえそうな程に歌音が緊張しているのがわかる。

ああ、ニヤニヤ止まるんねぇ。



「今日は何月何日〜?」


「えーと…2月…14…っ……………………………ッは!!!!!」



やっと気付いたのか、そのくっきり二重の元から大きな目を更に大きく見開いた。



「………バ…バレンタインデー…?」


「そう、正解!」



よく出来ました。と頭を撫でてやると、今度は口をあんぐりあけた。

…おもしろい顔を、まるでどっかの絵画のように歪ませて、不細工な顔見せた。

その顔が、…あれだ、ムンクの叫びだ。それに似過ぎて吹き出してしまいそうだ。


そして次は、瞬時に逃げようとする歌音の腕を簡単につかむ。

逃げ場を無くした歌音は渋い顔付きで俺を振り返った。




「………チョコ…今から作るの?」


「いーや、俺、チョコはいらねぇんだ」



顔を引き攣らせてとぼける歌音にニコリと笑いかけてやった。

いつ逃げ出そうかと俺の隙を探しながら歌音もつられて笑う。



「な、何が欲しいの…?」


「……ん〜…そうだなぁ………俺はー…」






























「俺は歌音の愛が欲しいな」


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