愛してると囁いて【短編】
「あ…愛いいぃぃい?!!」


「そうそう、愛」


「愛って…何…、何するの…?」



かなり警戒している歌音の様子を無視して、肩にまわしている腕でこちらに引き寄せた。



「俺に『好き』って言えよ」


「……はっ?…うひ…ッ?!」



歌音のこめかみにフッと息を吹きかけると反応して肩を震わせた。

……つーか、「うひッ…?!」って…。もっとかわいらしい反応はできないのかよ。


まあまあ面白くなってきたので、今度は歌音の短い髪を指で弄んでみる。



「ちょっ…やめてよ…かつ君…!」



またピクリと反応して甘い声を発する。

予想以上の甘く色気のある声に、おもしろいというかなんというか…俺はやめられなくなった。


歌音は出来るだけ俺との間をとろうと体をよじらせるが俺の力に勝てるわけがない。



「―――…わ、わかった!わかったから…!ちゃんと言うから離して!!」



とうとう観念したのか顔を真っ赤にしてそう言った。


俺としてはもう少しいじくりたかったが仕方がない。



「じゃ、ちゃんと言えよ。言わなかったら襲うからな!!」


「お、襲…?!冗談やめてよ!!」



俺の発言に更に顔を赤く染める。

本当に冗談で言ったのに、歌音は恐怖で青ざめていた。


……なんかムカつく反応だな。本当に襲ってやろうか?…なんてそこまで意地悪は出来ないので口を閉じる。

にしても、さっきの歌音は高校生とは思えない色気を感じたな。

一歩間違えたら本当に襲ってしまうかもしれねぇな!

ま、それはないと思うけど。歌音だし。



「じゃー、歌音…言って」


「う、うん…」



よほど緊張しているのかスー、ハー、と息を整えて俺を見上げた。

そのわざとでない上目使いが俺を誘っているかのようだ。



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