愛してると囁いて【短編】
知っている同級生、先輩、後輩の名前を色々あげてみたが、俺はまだクイズに正解していなかった。

クイズを始めてかれこれ1時間はたった。


飽きてきたのか歌音はつまらなそうに唇を尖らせている。



「かつ君〜そろそろ諦めようよー。あたし早く帰ってデジモン見たいのー」



テメェいくつだよ!と心の端でツッコミを入れながら俺はマジで真剣に考えてた。

くそ…おバカ歌音に負けてたまるか!!



「待って!もっとわかりやすいヒントちょーだい!」



まだまだ粘る俺。

負けてたまるか根性のおかげで、俺はいろんな場で活躍してきた。

例えば勉強とか。毎回首位だし。

だから今回もそのド根性で粘りに粘ってやる!!

納豆に成り切れ俺!!




「………なら、大ヒントをあげてもいいよ…」



小さくため息をつき、俺を見据える。

目がバッチリあい、今さっき立てたばかりの意気込みを忘れて、俺の心臓はまた高まっていた。

そんな内に、歌音の柔らかそうな唇が動いた。



「……………その人はね…甘いんだ」


「甘い…?」


「うん、チョコレートみたいに。甘くて甘くって…あたしが溶けてしまいそう…」



そんなことを言う歌音の表情が甘くなった。


おまえの方が甘い。


甘くて、甘くて…



食べてしまいそうだ。










「まだわからない…?」


「あったりめーだ。そんなんでわかるかっ!おバカ!」


「あははっ!じゃ、バツゲーム決まりーぃ!」



俺はゲッと頬を引き攣らせた。

バツゲームってまじかよ!!


この俺が?!


こいつなんかのクイズ如きに?!


ちっくしょぉぉおお!!














俺はとうとう観念して、バツゲームを受けることとなってしまったのだ。


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