幼馴染みと星と恋心と


そして老若男女にうける綺麗な顔が勝ち誇ったような笑みを浮かべるのが見える。
「あんたの顔が好きですよ!」
「へえ?」
自分で言ったくせにむかつく!
「で、何か用!?」
ああもうクラス中から注目されてる。
こいつと絡むといつもそう。
「用がないと来たらいけないの?」
「ええ、もちろん。」
噛み付くように言うと颯斗は軽く肩を竦めた。
なんでそんな姿も様になるのよ!!!
「英語の辞書、貸して?」
それだけのためにここに来たのか。
なら隣のクラスに借りろ。
お前は隣の隣のクラスなんだからわざわざここまで来るな。
そんな文句を飲み込んで机の中から辞書を出し鍛えられた胸板に押し付ける。
とりあえずわたしは早くこの場をどうにかしたい。
「ありがとう」
営業スマイルで言われてさらにむかついた。
「早く帰れー」
そう返すとクスッと笑われた。
なんでこいつはいつもわたしの一歩先を行っているようなリアクションをとるのか。

「そうだ、陽菜。今日お前んとこの親いないらしいからうちにおいで。」

それが本当の用か!
というかその言い方はちょっとまずい気がする。
「わかった。ご飯を食べに、行くわね。」
女の恨みは怖いのよ。
颯斗はまた面白そうに笑ってから教室を出て行った。


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