月猫ー闇に輝く少女ー
ドカッッ
バキッッッ

毎日、毎日、部屋にその音がこだまする。
まだ、幼かったおれを殴ったのは、
俺を生んだだけの母親。

理由は簡単。
俺は要らない子だから。

俺は母親がレイプされたときにできた子。だから、母親は、俺のことが憎くて憎くて仕方がなかったんだ。

痛かった。心が。
約束をしたのに裏切られて。

《玲也が大きくなっても、
 父親が誰かわからなくても、
 玲也のこと好きだから。》

そういった母親はもういなくて、
いるのは、憎悪の気迫が浮き出る女。

「あんた何かいらない
 何で生まれてきたのよ!」
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