月猫ー闇に輝く少女ー
『放して。』

僕は、今、校門に向かってる。
空っぽに抱っこされて。
るー はそのあとをついてくる。

「黙って、玲也に抱っこされてろ、
 野良猫。」

「月さん、本当に野良猫っぽいです   ね」

「なつかないってところがね!」

「………………………野良猫。」

「お前、理事長と知り合いか?」

『さぁ?』

僕がそういうと、聞いてこなくなった。

『放して。』

「そしたら、逃げるでしょうに~」

『逃げないから放して。』

「わかった~、
 逃げないでね~」

その言葉と共に安堵の表情を見せた、玲也。僕の思った通りだ。こいつは、女好きを装ってるけど、女が嫌いんだ。ううん。女が恐いんだ。

『………………ごめん。』

「ん~?何が~?」

『僕のこと、嫌なんでしょ?』

「「「「「!?」」」」」

「どういうことだ~?
 野良猫ちゃん?」

玲也は、驚いた表情で

『震えてた。君。
 女恐い?違う?』

「俺は、女好きだけど~?」

そう返してきた玲也は今にも泣きそうだった。

『……………何でもない。』

今は騙されてあげる。

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