スイートな御曹司と愛されルームシェア(原題『かわいいイケメン、拾いました』)【クリスマス番外編】
「おやすみ、翔太くん」
「おやすみ、咲良さん」

 翔太の声を聞きながら、咲良は静かに息を潜めつつも、眠るまいと目を開いていた。彼の腕枕が心地良くて、ついついまぶたがぴったりと合わさりそうになるが、そのたびにあわててカッと目を見開く。

(そろそろ寝たかな?)

 息をとめて様子をうかがうと、さっきまで荒かった翔太の呼吸が落ち着き、上下する胸の動きも穏やかになっているように思う。

 咲良がそーっと上体を起こしたとき、翔太が身じろぎをした。

「咲良さん?」

(まだ寝てなかったんだ!)

 咲良はあわてて何でもないふうを装いながら言う。

「あ、ちょ、ちょっと喉が渇いちゃって……」

 そう言った手前、仕方がないのでムートンのスリッパを履いて、キッチンに行き、水を飲んだ。

(次はもうちょっと我慢して待たないと……)

 咲良が再びベッドに潜り込むと、翔太が彼女を包み込むように抱いた。

「おやすみ」

 咲良はつぶやくように言って、彼の腕に頬を寄せる。極力穏やかな呼吸をして、眠っているように見せかけながらも、目はぎんと開いておく。

(寝ちゃダメ、寝ちゃダメよ、咲良)
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