隣の女
思わず自転車の向きを変えて、
朝子はハデージョの後を追った。

朝子に気付く様子もなく、
携帯電話を見ながら
前を歩いていたハデージョは、
バックから小さな紙切れを出すと
どこかに電話を掛け始めた。

そして、電話をしながら
その紙切れを
人の目にふれないように
さりげなく
道端に捨てたのだった。

「な、なによ‥あれ!
 道にゴミを捨てるなんて
 信じられないっ!」



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