隣の女
「あっ‥ハデージョだ!」

と、心の中で朝子はつぶやいた。

ハデージョは、全身を雑誌から抜け出したようなスタイルで毎朝登場する。

一体、何時に起きて頭の先から足の先までほぼ完璧に仕上げているのかしら‥。

いつ見ても全身バッチリ決まっている彼女を羨望のまなざしでみつめていた。

何より、その予算は一体どこから出ているのか‥?!

朝子の場合、無難な国産メーカーのバーゲンに足しげく通って、ボーナス払いで年に数着買うのがやっとである。

だからこそ、少しでも雑誌に出ていた高級スーツに似ているような似てないような(笑)ジャケットを選んでみたりと‥これでも努力している。

ただ、変わったデザインの物は着られない。

セレブでもあるまいし、あまりに目立つ洋服を買うと、何度も着られないではないか‥(^^;)

そうなると‥いつも、ベージュのパンツスーツや綿やウールの無地のカーディガンやタートルネックのセーターを選ぶことになる。

そして時々、ブラウスやインナーはノーブランドの安物を選んで流行を取り入れている。

それら洋服たちは、一応は日本のメーカーなのによく見ると全てmade in China, made in Indonesiaである。

別にそれが悪いわけではないのだけど
‥なんだかわびしくなるときがある。
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