隣の女
「さぁ、そろそろ始めましょうか?」

そこへハデージョが

エプロン姿で現れた。

すると、その場にいた女性達が

手馴れた様子で、キッチンへと

移動して、冷蔵庫から

すでにきちんと下ごしらえがすんだ

材料や、棚にあるキッチン用品を

出し始めた。

朝子も

「何かお手伝いしましょうか?」

と、慌てて近寄った。

「あら、ありがとうございます。

 でも、大丈夫ですよ。」


そう言われたら仕方ない。

邪魔をするわけにもいかないので

ひとまずリビングに戻って

ソファーに腰掛けた。

そこへ、一人の男性が入ってきた。

「あれ?今日は一人なの?」

「はっ?」

驚いて振り向いた朝子は

二度驚いた。

その男は、以前、ハデージョを

追って見つけたあのぼろアパートの

前であった男だったのである。


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