隣の女
それぞれが手にしているファイルは一様に海外の文房具のような華やかな色使いのものだった。

朝子はとにかく周りにいる6人の女性一人一人に興味津々で‥料理どころではなくなっていた。

朝子のすぐとなりにいる女性はいかにも一昔のお嬢様風で、パステルピンクのエプロンの下にはレースのフリルのついた白いブラウスを着ていて、スカートもシンプルなフレアー、お化粧も本当に薄化粧である。

年は27歳くらい‥かな?

地味に見えるその洋服は‥しかし‥全部高級ブランドのオートクチュールだった。

「ゲゲッ!」

朝子は思わず、持っていたペンを落とした。

すると、その隣の女性がすかさず拾って上品な笑顔と共に朝子に何も言わず差し出した。



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