隣の女
ギョッとして振り向くと‥

そこには、いつの間に入ってきたのか
速水翔が満面の笑顔で立っていた。

「あ、い、いえ。大丈夫ですから‥。」

朝子は、翔の彼女のアシスタントの視線を
何気に感じて焦っていた。

『やばいって‥こいつ、何で?!』

案の定、アシスタントがすたすたと朝子たちの
ところにやってきた。

「翔君、皆さんのお邪魔になるから‥ね♪」

わざとなのか、無意識なのか朝子の方に
ぐっと近づいて
「いいじゃん。どうせ、暇なんだし。」
と言うと、朝子の手から食器を取り上げた。

『ゲゲッ!ちょ、ちょっとぉ~。
巻き込まれるのは、ごめんだよぉ‥
マジ、やばいって‥この状況。』

朝子は、慌てて近くにある食器を手に取ると
気付かないふりをして流し台へ向かった。
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