Merry Christmas!






 
 テレビから聞こえるのはクリスマスのこと。
 今日は、クリスマスイブだった。
 優香里も志織も彼氏がいるから、今ごろ会っていることだろう。



 風間君と会えないからと、他からカラオケでもする?とか言われていたが、断っていた。何だかそんな気にはなれなかったのだ。
 やっぱり、風間君と過ごしたかったから。


 少し早いけど、机に料理とケーキを並べる。お酒も出す。

 携帯には、何もない。
 気にしてたらきりがないし、私は会えないことに納得しているのだ。風間君のためになることだから。


 それに、クリスマス過ぎてからでも、クリスマスプレゼントとかは渡せる。ケーキだって食べられるもの。これみよがしにいちゃつける…はずだ。 
 チキンに手を伸ばし、かぶり付いた矢先のこと。



「誰よ、こんなときに」



 チャイムの音が響いた。
 ぴんぽーん。やけに響いて聞こえる。

 宅配はないし、アパートの人だろうか?私が住んでいるアパートは、殆どが学生で知っている人もいる。それか、大家さんとか?大家さんもまた住んでいるのが学生ばかりということで、よく会う。昨日は雪かきしてくれていた。


 だけど、うーん。

 かぶり付あた歯形のまま、あえなく食べるのを中断。
 出る前に鏡をチェック。


 冷える玄関先で、除き穴を見て「えっ」声が出た。


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