WILL ~あなたの願い、叶えます~
「それ吸ったら、行けよ」

なんで。
恋敵の、背中を押さなきゃならんのか。

怖気づいたように怯む男に、一発二発食らわしてやりたいくらいなのに。

「ビビってんの? なんなら、このまま俺がいただいてもいいけど」

こんな風に煽ったりしなければ、こいつは尻尾巻いて帰っていくかもしれないのに。


「……ざ、けんな」


人でも殺しそうな目で睨んできておきながら。
……へえ、ちゃんと携帯灰皿は持ってるのね。


「怖ー。七瀬由紀は、優しい人が好きだって言ってたぜ」

「はあ?」
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