WILL ~あなたの願い、叶えます~
「あいつ昨日、可愛かったなあ」

「マジで、それ以上言ったら殺……」

「へえ、それは『優しく』ないね」

また、舌打ち。
ガキだなあ。
俺、こんなんに負けるの?


「お前が泣かせてんだろ?」

適当なあしらいをやめて低い声で睨みを利かせると、男の握りしめた拳が微かに震えたのが分かった。

――自覚はあるのか。


「……可愛かったよ、あいつ。泣いて縋って求めてくるから、たっぷり愛してやった」

精一杯の皮肉を込めて嗤って、飛んできた拳を片手で受け止めた。


「もう、行けよ」
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