WILL ~あなたの願い、叶えます~
何も罪がないのに頭から疑われているらしい仁野のことを、多少憐れにも思った。
同じ疑われる方の立場になってみれば、七瀬にだって仁野の痛みが理解できるはずだとも。


その、半分以上が俺の欲望で出来上がったとんでもない提案に。
まさか仁野が乗って来るとは、思っていなかったんだが。


「あんた、手ぇ出さないって約束できますか」

「……約束したら、意味ないでしょ。悪いけど、据え膳は食うよ俺」

「由紀は誰でもほいほい誘うような女じゃねえ!」

「じゃあ、問題ないねえ?」


お互い半分は、売り言葉に買い言葉。
そして裏側に、少しの打算。


――きっかけさえあれば、もしかしたら。
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