WILL ~あなたの願い、叶えます~
「圭輔じゃなきゃやだ。圭輔じゃなきゃ駄目なの」

彼の頭に手を伸ばして、そっと撫でる。
撫でる。
撫でる。

「ごめんなさい、やっぱり怒っていいから」

何度も、なんども撫でながら

「傷つかないで」

それだけを、願った。


「由紀……」

まわされた腕が緩んで、離れていく身体が淋しくて

「やだあ」

それが拒絶じゃないことを祈って、縋った。

「由紀、由紀聞いて」

押し戻されて、また暴れようとすると両腕をぎゅっと掴まれる。


そこでやっと、視線が絡んだ。
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