WILL ~あなたの願い、叶えます~
大方、いつもの通り店の外でも『店長』と呼んでくる由紀ちゃんに、無理やり『鍵本』で呼ばせたのだろう。

そうピンと来たら、尚更腹が立った。


おもむろに立ち上がった男はカウンターへと向かい、店主に声をかけて会計を始めた。
腐ってもフラれても酔っ払っても年上の男の体面なのか、一応は本当に奢ってくれるつもりらしい。

悔しいから自分の分は払う、なんて無駄なことは、私はしない。
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