WILL ~あなたの願い、叶えます~
「覚えてたのか」

驚いた様子の男に、微笑む。


「って、呼んであげてもいいよ。『店長』でも、『鍵本さん』でもなく」

「何その言い方、なんか条件ありそうだな」


その『条件』を聞いてこようとしない男の腕の中で、私も心の内だけにとどめた。


――あなたがもし、私の名前を覚えてて、名前で呼んでくれたなら。
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