WILL ~あなたの願い、叶えます~
時折うつらうつらしながら、それでも互いに眠れない夜が明けようとする頃にその人は言った。


「……タイミング、なんだよな……」


まるで独り言のように呟かれたそれに、返事はしなかった。

彼もそれきり寝落ちしたように静かになったけれど、多分、寝たわけではないことを互いに分かっていた。


もしもタイミングが違ったら。
出会うタイミングが、2人で話すタイミングが、この距離に近づくタイミングが少しでも違ったら、或いは――。
< 318 / 353 >

この作品をシェア

pagetop