WILL ~あなたの願い、叶えます~
適当に誤魔化して、フロアへ送り出す。

そんなのはもうとっくに慣れたはずのいつものことなのに、今日ばかりは心がざわつく。


――『や、もういいよ』――


……本当に?
もう、いいのか?

本当に、完全に、別れたのか?


「店長、おはようございます!」


バタバタと遅刻ギリギリで現れた販売員の声でハッと我に返り、焦って返した挨拶は絶妙な噛み具合で不審がられる。

「店長、なんか疲れてます? ああ、もしかして、ウィンタースポーツコーナーのアレのせいですか」

「――ッ!」

ぎくりと。
多分俺は余程強張った顔をしたのだろう、相手が驚いて怯んだ。
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