WILL ~あなたの願い、叶えます~
仮にも店長だ。
仕事中くらい、しっかりしろ。

そんなことを自分に言い聞かせながら。


「そうか、預かり板が溢れ返ってたな」

これは仕事だと、言い訳しながら。


話しかける口実が出来て勝手に浮かれる気持ちは、誤魔化しきれない。


年甲斐もなく、みっともないとも思う。
けど、そうじゃない恋愛の仕方なんか、あっただろうか。

――思い出せない程、女と疎遠だったわけじゃないはずなんだがな。
あいつに墜ちてからこっち、昔の女のことなど一瞬たりとも思い出したことがないから。

忘れてしまった。
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