WILL ~あなたの願い、叶えます~
油断をするとにやけて緩みそうな顔を引き締めて、『仕事』を名目にウィンタースポーツコーナーへ向かう。
陳列棚の隙間から、七瀬の姿が見えた。

預かり板を愛おしそうに撫でる彼女は若干変態じみているようにも見えるが。
その板を羨ましいと一瞬でも思った自分は、さらに上を行く変態だ。

……口が裂けても人には言えん。


開店の音楽とほぼ同時、声をかければ何やら不機嫌そうな顔で振り返る。
本当なら「おい売り場だぞ」とでも注意しなきゃいけないのだろうが、まだ客足もないのでスルー。

もっと有意義な会話がしたい。
有意義な。

「来週の月火に入れてる休み、どっちかなんとか出てこれない?」

いや、こういうことじゃなくて、本当はもっと。
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