WILL ~あなたの願い、叶えます~
不服そうにしながらも休日出勤を了承してくれた七瀬に、探りを入れた俺は、やっぱり小さい。

クリスマスの連休なんかもういらない、とばかりの口調で不機嫌を露わにする七瀬を、もう少し突きたくなった。


「――本当に別れたんだ」


まさかそこまで話を聞かれていたとは思っていなかったのだろう、ぎょっとした顔で見返してくる。


もし泣かれたら、それこそまだ男に未練がある証拠だと思って。
むしろその方が、すっぱり諦められる気がした。

落ち込んだら――慰めるのは、フェアじゃないから。
いつもの調子で、たき付けて、その男のところへ戻るように背中を押してやるつもりだった。
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