どれ程の時間が流れても
あの頃の私達
アイツとは、生まれてからいつも一緒にいるし、いつから仲良くなったと

か、ちゃんと話すようになったとか、そんなのは覚えていない。

まあ、いわゆる幼馴染みってやつなのだろう。

その関係は、ずーっと続いていて、今だ変わる気配もなくただただ時を重ね

落ち着いている。

「男女の友情関係」なんて嘘だと言う人もいるはずだろう。

思い出したくもないが、確かに、昔好きだったという事実は否定しがたい。


だが、こんなことをアイツに言ったら、調子にのって


「俺達、ついに付き合いました!ちなみに告ったのは花の方で、今ではもう両

思いでっす!」


なんてことも言いかねない。

寒気がしてくる。

きっと私が昔の話だと言っても


「照れんなってー」


などとほざいたあげく、


「俺を試してんだろ?心配しなくても、俺には花だけだって!」


と、その場の空気を凍らせるだろう。

脳内変換の激しいヤツだ。

それぐらいあり得る。

今だって、私には彼氏がいると何度伝えても幼馴染みの関係が一生続いても

いいから一緒にいたいと聞いてくれない。この関係は、いつまでつづくのだ

ろうか…
 








                
                                             ☆☆★★☆☆★★☆☆★★











アイツとは、生まれてからいつも一緒にいるし、多分、親戚とか家族以外で

女とこんなに関わったのもアイツが始めてだ。

アイツは、俺のことを幼馴染みとしか認識していないようだが、俺はその関

係を壊したいと思っている。

男女の友情関係なんて嘘だ。

俺がずっとこの気持ちを忘れなければ、いつかきっとこの恋も実ることだろ

う。

多分…いや、絶対に実るはずだ!!

それにしても、これだけアピールしてるのに落ちないとは…今やあいつも一人

の女として成長し、ちょっとやそっとの行動では落ちてくれない。

いつからだろう…こんな関係になってしまったのは。

俺はずっと花だけだというのに、アイツには彼氏がいる。

そのせいで俺は未だ童貞のままだ。

友人達は、次々と彼女を作り卒業を果たしているというのに…。

俺はというと、年齢=彼女いない歴…。

そんな俺がよほどあわれに見えたのか、合コンの誘いが後を絶えないが、そ

れも全て断っている。

一度だけ仕方なく出てみたことがあったが、それも、アイツ以外の女子とな

んかきちんと話したことがなかったため、結局失敗に終わった。

今だって何度気持ちを伝えても、


「私には彼氏がいるから!」


その一点張りだ…。

幼馴染みの関係が一生続いてもいいから。

とは言ったもののの、そんなのは嘘だ。

いつかきっと、アイツにとって本当に大事な存在として、隣で肩を並べてみ

せる!!

この関係が終わるのも、時間の問題だ!









           ☆☆★★☆☆★★☆☆★★









「さや姉、本当に行くの?」


ずっと目をふせていた花が、急に顔をあげた。

その顔が、やけにせつなく不安でいっぱいだったので、紗綾は、自分が悪い

ことをしているような気になった。

じっと見上げてくる大きい瞳に戸惑いながらも、きゅっと繋いだ手を離さず

に、立ち止まる。


「大丈夫だよ。ちゃんとかわいいし。せっかくだから、ヒロくんに見せな

きゃ。」


花の気持ちを知っている紗綾は、どうしても協力してあげたかった。

二人とも幼馴染みという仲であり、なんだかんだ言ってヒロくんも花のこと

が好きそうだったからだ。

それに、二人が仲良くなることで、私にも…


「さや姉!あそこあそこ!」


「え!?」


あぁ、ヒロくんの事か…心の内をを見透かされたのかと一瞬不安になった

が、そんなわけないか。と安堵の息が漏れる。


「頑張って」


笑顔で見送ると、紗綾に背中を押された花はコクリとうなずき、走って川原

で遊ぶ男子の群れに飛び出していった。


「お前、なんだよその格好!!」

何人かの男子が近づいてきたが、花は無視してボールを持った男子の話しかけた。

花は笑顔で近づいていったが、彼は違った。


「なんだよ、それ。」


「あのね、今日あけみ姉の結婚式でね、それでね、さや姉にいろいろキレイ

にしてもらって、お化粧もしてもらっちゃった!」


花からしたら、別にほめてくれるだろうなんて、期待もしてない。

何か、言葉を返してなんて頼んでもいない。

ただ、頑張ってオシャレした姿を一目見てもらいたい。

そう考えていたんだろう。


< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop