犬系男子を被った王子様
「うん。そう。よく覚えてるね」
えらいえらいと、子どもをあやすかのように頭をポンポンする紫音くん。
こんなの地獄としか思えない私。
でも、これ以上どうすればいいかも分からない…。
大人しく従うしかないのだ。
教室に着くと、じゃ、また後でね。といい紫音くんは自席に行った。
私が席に着くと、香が私を心配したかのように駆け寄ってくれた。
「大丈夫だった?淋…」
香にはあの後全てを話した。
冬夜くんと別れたこと、紫音くんと付き合ったこと。屋上の秘密のことも伝えた。
香は冬夜くんにすぐ伝えよう!って言ってくれたけど、私がやめて!って念をおして、断りを入れた。
「ありがとう、香。私は平気。」