犬系男子を被った王子様
時間と言うものは本当にあっという間だ。
だってもう放課後だもの…。
帰る支度をしていると……
「猫宮!猫宮!いるか?!」
大声で私の名前を呼ぶ誰か。
いや、むしろこの声は聞いたことがある。
「宇佐川君…」
「おっ!猫宮いた!ちょっとこい!冬夜ー!俺猫宮と帰るから!じゃあな!」
「は、え?ちょ、拓…」
犬川くんの言葉を無視して宇佐川君は私の腕をつかみ廊下を歩き出した。
「あの!う、宇佐川君、一体何処へ…」
私が声をかけても無視をする宇佐川君は、ただただ下駄箱に向かって歩くだけ。
ど、うしよう。困った…。非常に困ったよ…。
私は内心焦りながら必死に宇佐川君に付いていく。