重ねた嘘、募る思い
熱のある陽さんを布団に寝かせ、真麻とふたりでちゃんと話をしようということになった。
それなのに、話にちゃんと参加したい、参加させてくれと哀願する陽さんの押しに負けて結局居間のこたつで三人で話し合うことに。
寒気がおさまった陽さんの額には新しい冷却シートが貼られ、はんてんを着込まされて上座に鎮座している。
長い前髪はゴムで上に結ばれて(真麻がやった)いつものかっこいい陽さんではない。だけどかわいい。
その頬はまだ赤く、しかもなんだか少しにやけているようにも見える。その左右にわたしと真麻が座り、向かい合った。
なんだかいまだに信じられない。陽さんがわたしを好きとか。
たぶんわたしが陽さんに抱いている『好き』という気持ちとは違う部類の『好き』のような気がしてならない。温度差があるというか……。
「何から説明しようかしらねえ」
うーん、と唸るような声をあげた真麻が上目遣いでわたしを見る。
その間にリクエストされたゆず蜂蜜茶をマグカップに淹れて陽さんに出すと、手ごとぎゅっと握られた。
そして「えへへ」と力のない笑みを浮かべて見せられる。
手の温かみやその蕩けそうな笑顔になんだかこっちの力まで抜けてしまいそうだったけど、ここでうやむやにしたくない。
その手からするりと抜け出すと、あからさまにションボリと肩を落とした陽さんがすごくかわいく見えてしまった。
ほだされてはいけない。
首をぶんぶんと横に振って気合を入れ直す。