重ねた嘘、募る思い
「あれはね、のんちゃんには強引に攻めた方がいいだろうって真麻ちゃんとふたりで結論に達してさ。あのキャラ演じてるの本当はすごく恥ずかしかった」
「え、キャ、ラ?」
信じられないっ! あの強引俺様自己中はただの演技だったなんてっ!
真麻とふたりで結論にってどんな話し合いの末にそうなったのだろうか。聞くのも恐ろしくて、開いた口が塞がらなかった。
「でも、もうわかっちゃっただろうけどかなりのヘタレで、恋愛経験も少ないんだ。だからうまくリードできるかわからないけど、それでも僕ができることはなんでもする」
「陽さん……」
「僕の寝言聞いて引かなかった? マザコンじゃないかって思われるの怖くて本当は言いたくなかった。父親にも『好きな子の前で出ないといいな』って死ぬ間際まで心配されて。もう隠しごとはないから」
真っ赤な顔の陽さんがすごくかわいく感じて、わたしは必死に首を横に振った。
「絶対に引いたりしない。マザコンだなんて思わないから……」
「ありがとう。もう、嘘はつかないから。のんちゃんも」
もう一度、強くうなずき返した。
もう嘘はなし、ね。