重ねた嘘、募る思い

 そして衝撃の真実。
 陽さんはわたしと真麻が従姉妹なのを知らなかったそうだ。
 さっき真麻と揉みあった時、わたしがふいにそう言ったのを聞いて知ったと笑いを堪えて話してくれた。

「なんでその事実を隠していたのかはさっきの取っ組み合いの喧嘩で大体わかったけど、仲がいい従姉妹がそばにいるってうらやましいよ」

 少しだけ寂しげに陽さんが言った。
 
 真麻はわたしの嘘にずっとつき合って、真実を告げないでいてくれたんだ。

 結局自分でついた嘘を自分で暴露することになってしまい、穴があったら入りたい、むしろなくても掘って入りたいくらいの心境になる。
 陽さんには何度謝っても足りないくらいだ。

 
「お願いがあるんだ」

 ひとしきり話し、静寂に包まれた間が長く感じた頃、陽さんの小さな声がした。
 お願い、急に改まったように持ちかけられ軽く緊張してしまう。
 布団の中で繋がれた右手に少しだけ力がこめられたように感じて、「はい」と小さな返事をした。
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