重ねた嘘、募る思い
真麻の恋
1.好きな人には好かれない
好きな人には一生好きになってはもらえない。
そういう星の元に生まれてきたんだと私は中学三年の時にすでに悟っていた。
自慢じゃないけど私はモテるほうだと思う。
クラス外の男子にも声をかけられたり、告白もされている。その度に断わるのは申し訳なかったけど、なんとなくつき合うっていうのも違うと思うから。
――いいお友達でいましょう
その言葉をかければ今まで通りに接してくれる男子は多かった。
その逆で思い切り避けられるようになったこともあるけれど、それはそれでしょうがない。私だってそんなふうに言われたら避けてしまうかもしれないもの。
傷つけたくない。だから友達でいたかった。それをわかってくれた相手は仲のいい男友達になってくれた。その関係が楽しくて一番気楽だった。
男女問わず仲良くするのが楽しかった。
ただ、その輪に加わらない人もいた。
いつも自分の席で物静かに本を読んでいる女子、それが花音。
私の従姉妹で産まれた時からいつも一緒、双子みたいに仲良く育てられたいわば私の分身。
中学に入った頃から「目立ちたくないから学校ではあまり話しかけないで」とお願いされているからあまり仲良くしてはいなかったけど。
うちは母親が看護師で夜勤が多かったから、その時はいつも花音の家でご飯を食べさせてもらったり泊まったりしていた。花音の両親は私の第二の両親だからパパママと呼んでいる。
花音の両親も私の両親もお互いを実の娘のようにかわいがってくれるし、悪いことをしたら真剣に怒ってくれる。両親が二組いることは私の自慢でもあった。
家では花音と学校の話をたくさんしていた。
私は花音のことをよく見ていた。だから花音がこっそりひとりの男子を見ていることに気づいていた。
そのことを告げると真っ赤な顔で俯いて「誰にも言わないで」と蚊の鳴くような声で言うもんだからかわいくて約束の指切りを交わした。