重ねた嘘、募る思い
3.陽さんと真麻、そしてわたし
「のんー! ごめんーお待たせーっ」
そんな時、タイミング良く? 真麻が走ってこっちに向かって来た。
陽さんの後ろでわたしの顔をのぞき込むようにして様子をうかがっているけどさっさと助けてほしい。
「だれ、この人?」
「あ、君がこの子と待ち合わせしていた子?」
真麻と陽さんの声が重なる。そして男の人の表情が緩んだのをわたしは即察知した。
今日もきれいにクルンクルンに巻かれた茶色い髪の毛先。夜勤明けなのに目の下の隈もないし、疲れた様子を微塵も感じさせない。こういう気遣いができるのも真麻のいいところ。
「そうですけど?」
「あ、女の子の友達だったんだ。いきなりびっくりしたでしょう。ごめんね。この子ずっとここにいてフラれちゃったのかなって思って」
「ナンパですか?」
ぎっと真麻が強く睨みあげる。その顔がまたかわいいんだ。
「そうなっちゃうのかな。僕もフラれちゃって、仲間同士一緒に遊んでもらえないかなって思ったんだ」
「それってナンパって言うんですよ」
「そっかーごめんね。驚かせちゃったかな」
おもむろにこっちを振り返られ、オーバーに身を引いてしまう。
なぜかぶんぶん首を横に振ってしまう自分。言われたとおりすごく驚いたくせになんで否定してしまったんだろう。