重ねた嘘、募る思い
3.なにもかもがうまくいかない
私の携帯に大里くんのアドレスが追加された。
夏休みは結局大里くんから毎日連絡があったものの受験勉強が忙しいからと断り続けた。
それがおもしろくなかったのか大里くんは「俺の彼女だろ」と怒って、めんどくさいから何度か遊んでやった。
正直脳筋の大里くんと遊んでも会話が成立しなそうだしつまらないと思っていたけどそうでもなかった。
想像通り身体を動かす遊びが多かったけどテニスやアイススケートができるようになったのも大里くんのおかげだと思う。
そういう楽しみを教えてくれた貴重な初彼だった。
新学期が始まり、すぐに私と大里くんがつきあっていることが広まっていた。
つきあっていると言ってもただ遊んでるだけだしと思いながら口止め料なので曖昧に肯定していると『美男美女カップルうらやましい』となぜか周りから受ける祝福ムード。
その中には大里くんを好きだった女の子も含まれていて「真麻には叶わないもん」と泣き笑いの表情で告げられた。それを見て申し訳なくなってしまう。私は本気で大里くんのことを好きな訳じゃないのに。
そんな気持ちを抱えながらのらりくらりと大里くんとのつきあいは続いていた。
なんとなくだけど彼のとなりは居心地がよかった。
大里くんが並んでいれば他校の男子に声をかけられることもなかったし、女子には羨望の眼差しで見られた。
その中にひときわ鋭い眼光で私を見つめる存在を感じたのはクリスマス近い頃だったと思う。