重ねた嘘、募る思い
神様は見ていてくれたようで、醍醐くんとは一度も同じクラスになることはなかった。
高校生になった醍醐くんはやっぱり中学時代と変わらず常にひとりでいた。
そう考えると醍醐くんと花音は似ている。
似たもの同士だからこそ、醍醐くんは花音に惹かれたしあの子のことがよくわかっているのかもしれない。
だけどもうなにを考えても遅い。
好きな人に一生好かれることのない私はなにもかもどうでもよくなって、告白されれば誰とでもつきあった。たとえそれが彼女持ちの相手でも。
もちろん後腐れなく別れてきてからねと釘は差していたけど、いろんな女子からの恨みも買った。
だけどなんにも感じない。取られるほうが悪いんでしょ。
最初のうちは痛い視線を感じていた。
いろんなクラスの女子からも、そして醍醐くんからも。
そんな時だけわずかに合う視線も、いつの日か感じることはなくなっていた。
そして三年間はあっという間に過ぎ――
偶然にも私と醍醐くんは同じ医学部に進んだ。
醍醐くんは医師を目指して、私は母と同じ看護師になるために。