重ねた嘘、募る思い
それから毎日青野先生からメールや電話が来るようになった。
他愛もない挨拶だったり、夜勤中の仮眠時間の暇つぶしの相手をさせられたりそんな感じ。
同じ職場だから共通の話題も多いし結構笑いのツボも合っていたりするからおもしろおかしく話してくれるし楽しい。
それにそうやって話している時はいろんなことを考えなくてすむから正直助かっているかも。
もう三月も終わる。
最終金曜日は醍醐くん達の実習最終日。
その日が終わったらもう病棟に来ることはない。もちろん次の学生が来るのだろうけど。
あの日から醍醐くんとは接していない。
職種が違うし当たり前なんだけど、醍醐くんの実習仲間からは何度か質問をされた。もちろん患者さんのことだったり、パソコンでデータを呼び出す方法だったりいろいろ。
だけど実習チーム五人の中、醍醐くんだけが私に声をかけてこなかった。あの点滴の日の「滴下調整」以外かけられた言葉はない。別にいいけど。
だけど醍醐くんが他の看護師に質問している姿を見かけたりするとなんだかむかむかしてきてしまう。
故意に私に聞かないのか、はたまた聞きづらい看護師認定されていて避けられているのかわからないから私の中のもやもやはおさまることを知らなかった。