重ねた嘘、募る思い

「嫌いと言ったのは、自分の気持ちに気づいてもらえなかったのが腹立たしかったからつい……」
「は?」
「空メールが途中から届かなったのは、知らないうちに受信拒否設定にされていたから」
「誰に?」
「たぶん母親。昔何度か携帯チェックされてたから。何度もやめるように言ってようやくやめてくれたけど」
「パスコードかけてないの?」
「あの時そんなのあるなんて知らなかったんだよ。空メールでも届かなくなってショックだったし、意を決して送ってみれば届かなくなってたし」

 唇をとがらせる醍醐くんがいやにかわいく見えてしまって笑いたくなった。 
 だから私がメールアドレスを変えたことを知っていたんだ。まさか醍醐くんの方から送ってくれていたとは思わなかった。
 あの時私がメールアドレスを変えたのだって、醍醐くんから来るはずのないメールを待つのがいやだったからなのに。

「あと、青野先生のこと」

 言葉を選びながら醍醐くんがゆっくり話してくれた。
 そこには驚愕の真実がこれでもかと言うくらい隠されていた。
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