重ねた嘘、募る思い
実習初日、オリエンテーション終了後青野先生に声をかけられた醍醐くんは質問責めにあったらしい。
私との関係とか学生時代の私はどういう子だったかとか。それはもう根掘り葉掘りな状況で辟易したと。
「なぜそんなことを聞くのかと逆に尋ねたら『つき合ってるから』と返された」
「っ、それは」
「つい最近青野先生から本当の理由も聞いたからわかってる。でも藤城さんの携帯の着信履歴が青野先生だらけで正直きつかった。あの時はまだ恋人のフリだったなんて知らなかったし、つき合ってるのなら当然だろうとは思ったけど」
青野先生、恋人のフリは公にしないって言ってたのに!
まさか一番聞かれたくない人に言われていたとは……あとでとっちめてやる。
だけどそんな風に思ってもらえていたなんてうれしくて、醍醐くんには申し訳ないけど顔がにやけそうだった。
「ライブも本当は青野先生と行きたかったんじゃないかなと思ったら申し訳なかったけど、長田さんも協力してくれたし……」
「協力?」
「あれ、長田さんからなにも聞いてないの?」
きょとんとする醍醐くんを見て、それはこっちがしたい顔だと思った。
花音ったら、私が知らないところでなにをしでかしてくれたんだろうか……。