重ねた嘘、募る思い
「うれしい」
私の顎に手をかけた醍醐くんの顔が近づいてきて目を閉じる。
またキスをくれる、そう思ったらうれしくてじっと待っていたのに全然来ない。
うっすらと目を開けるとニコニコした醍醐くんが私の顔をじっと見つめていた。
「な、なに?」
「ん、顔見てたくて」
「なにそれ?」
恥ずかしくて顔を逸らそうとするけど、顎を押さえられていて動けない。
視線だけ背けようとしてそれを拒まれる。
「なっ」
「キス顔もっと見せて」
ニヤッと笑う醍醐くんを見て思った。
この人絶対ドSだ。今まで全然気づかなかったけど。
醍醐くんに組み敷かれたまま抵抗もむなしく両手首を掴まれた私はベッドに押さえつけられて唇を重ねられた。
大好きという気持ちが溢れだす。
ずっとこうなりたかった。こうしたかった。
その相手はあなたしかいない。
「好きだ……真麻」
初めて下の名前で呼ばれて身体の中心に電流が流れたみたいな衝撃を受けた。
ぎゅっと醍醐くんの裸の胸に抱かれるととろけそうなくらい熱い。
ジンジンとした身体の痛みも、醍醐くんからもたらされていると思うと愛しいくらいだった。
初めてが醍醐くんでよかったと、心からそう思った。