重ねた嘘、募る思い
ゴウッと大きな音を立てて反対側のプラットホームに電車が入ってきた。
通話口の向こうで真麻がわたしを呼ぶ声が聞こえたけど切ってしまった。
何度も震える携帯がうっとうしく感じて電源を落とす。
真麻、怒ってるかな。
あとで何か言われることを想像し、なぜか苦笑してしまう。
陽さんはどう思っただろう。
一瞬そんなことを思ったけど、すぐに心の中で打ち消した。
きっと邪魔者がいなくなってよかったってくらいにしか思われていないはずだから。
バカみたい。
足なんか痛くないのに、また嘘ついちゃった。
そして、もうひとつの嘘。
「だいじょうぶ、じゃ、ないよぅ……」
わたしはその場でしゃがみ込んで泣き出してしまっていた。
なんでこんなに涙が出るのかわからなかった。
わたしなんかが真麻に嫉妬しているのだろうか。信じられない気持ちでいっぱいだった。
大丈夫、大丈夫だよ。
陽さんが憧れの宮内紘基に少し似てたから気になっただけで、こんな思いはすぐに消えるはず。
だって本人じゃないんだもの。
だけど、苦しいよ。