重ねた嘘、募る思い
「ごめん」
素直に頭を下げると怒っていた真麻の表情から力が抜けた。
わずかに眉根を下げ、気まずそうな顔をしながらわたしの頭をぐしゃぐしゃとかき乱す。
これは真麻の許しの合図だってわかっているから心の中でほっと安堵のため息を漏らしてしまう。
「……もう、いいけどさ。陽にもメールなり電話なりして謝っておきなよ」
「えっ?」
「とにかく、今日は私につき合ってくれてありがとう。寂しいクリスマスイブにならなかっただけよかった」
手をひらひらと振ってわたしの部屋を出て行く真麻を呆然と見送った。
手元に残されたのは陽さんのアドレスのメモ。
それを見つめ、躊躇いなく掌の中にぎゅっと閉じ込めた。
謝る必要なんかない。
だってわたしは陽さんの願いを叶えたのだから。
真麻とふたりきりになって告白でもしたかもしれない。
それとも真麻に連絡先を教えて「また遊ぼう」と誘ったのかも。
そっか、真麻だけに連絡先を教えるとターゲットをロックオンしたとバレバレだからカモフラージュでわたしにも連絡先を教えたってことか。なるほどね、そう考えたら合点がいく。思ったよりも慎重に事を進める人なのかもしれない。