重ねた嘘、募る思い
「一応言っておくけど、番号変えても無駄だから」
「……え?」
「脅しじゃなくて、本当のこと。だけど悪用なんかしないし、警戒しなくても大丈夫」
待って、言ってることの意味がわからない。
陽さんの顔が笑ってないように見えるけど、本当に番号を変えても無駄のような気がしてきた。恐怖すら覚える。
「家についたら連絡してよ。待ってるから。それとも送っていこうか?」
「えっ?」
「あからさまに迷惑そうな顔してる。本当にわかりやすいよね、のーんちゃん」
ぽん、と軽くわたしの頭に陽さんの大きな手が乗せられ、くしゃくしゃっと髪をかき乱された。
それこそあからさまに反応して強張るわたしの身体。
それを見た陽さんが苦笑いをして「気をつけて帰りなね」と後ろ手を振って颯爽と元来た道を戻っていったのだった。
その場に取り残され、唖然と立ち尽くすわたし。
なんで、なんで、なんで?
なんでこんなことになってしまったの?
わたしの頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになっていた。