重ねた嘘、募る思い
『ねえ、何か勘違いしてない? 真麻ちゃんの連絡先は知ってるよ』
「えっ? じゃっ……」
わたしの言葉を遮って、陽さんが真麻の携帯ナンバーとメールアドレスを言い始めた。
それは間違いなく真麻のもので。
じゃあなんで、わたしの連絡先を知りたがるの?
真麻にコンタクトを取りたいがためにわたしを脅すような真似をしたんじゃないの?
「のんー、ママが夕飯できたって呼んでるよ」
「えっ、あ!」
再び頭の中がクエスチョンマークだらけになったわたしはノックもなしに部屋に入ってきた真麻の大声を聞いて慌てて通話をオフにしてしまっていた。
「あ、電話中だった。ごっめーん」
悪びれもせず、真麻が舌を出して部屋を出て行く。
もうなにもかも遅すぎる。通話も切ってしまったし、きっと真麻の声は陽さんに聞こえていただろう。
わけもわからない脱力感に見舞われ、お尻から根っこが生えたように座りこんだベッドからしばらく立ち上がれなかった。