重ねた嘘、募る思い
もうなるようにしかならない。
陽さんから向けられる好奇の眼差しから逃れるために俯いてグッと唇を噛みしめる。今だ、言うしかない!
「あの、ですね、真麻と仲良くなりたいのでしたら……わっ、わたしを介しても無駄だと、思います」
「……どういうこと?」
「真麻はですね、えと、押しが強いくらいの……そう、ひっ、引っ張ってくれるような男らしい人に弱いんです。だから、わたしなんかを介さないほうが――」
「僕は男らしくないってこと?」
――成功するはず、と続けようとしたのに、トーンダウンした陽さんの声を聞いて言葉を飲み込んでしまった。
はっとして見上げると冷やかな顔でわたしを見下ろしていた。
陽さんの一変した態度に胸の奥が冷えたようになって、自分が言ったことを振り返ってみる。言い方が悪かったのかもしれない。怒らせてしまったことには変わりはないようだ。
「あ……ご、めんなさい。でも」
「じゃ、どう攻略したらいいか詳しく教えてよ」
「えっ?」
――攻略?
意味がわからず様子を窺うと、ほんの一瞬前までつりあがっていたように見えた眦が穏やかなカーブを描くように細められ、結んだままの唇はかすかな笑みを浮かべていた。
そしてまた、性懲りもなく胸をときめかせてしまうわたし。
この人は陽さんであって宮内紘基じゃないのに。何を期待しているの。
自分の心を戒めるように何度も言い聞かせるけど、胸の高鳴りは一向におさまらない。
「僕の恋がうまくいくように協力して」