重ねた嘘、募る思い
7.再び陽さんとわたし
なんなのよ! なんなのよ!
なんでわたしがあの人の恋がうまくいくよう協力しなきゃいけないわけ?
結局わたしは利用されるだけなんじゃない。
真麻とうまくいくようキューピッドになれってことでしょ。
だからわたしなんかを介さないで直接真麻へぶつかれってアドバイスしてやったのに簡単に覆されただけのような気がする。うまく口車に乗せられたとでも言うのだろうか。
「おいしそー! いっただきっ」
「あっ、こらーっ!」
揚げたての唐揚げを背後に忍び寄ってきていた真麻が皿から掠め取った。
はぐはぐと熱そうに口の中で熱を逃そうとしている。一昨日前の鍋とまるっきり一緒だ。
「んー、うまあー。私の分もお弁当あるよねっ」
「……なんでよ」
「なんでそんなツレないの? 週休二日制の企業が多い中、土日祝日関係なく頑張ってるのに」
「わたしは怒ってるの。わからないの?」
むくれた表情だった真麻がきょとんとしてわたしを見つめている。
「何に怒ってるの?」
「陽さんに、余計なこと言ったでしょ? お弁当持って、絵を描きに行くとか」
「あー、そう言われてみれば言ったかも」
再び唐揚げに手が伸びてきたから皿ごと取り上げると真麻は唇を尖らせて頬を膨らませた。
ぶつぶつと何か文句を言い、急にその顔がニンマリしたものに変化する。