重ねた嘘、募る思い
待ち合わせは九時だったけど八時半にはついていた。
パークの正門はすでに開いていて、チケット売り場にはすでに開門と同時に入りたい人達が早々と並んでいる。
ツリーと化していた木の装飾は当たり前だけど外されている。
だけどその下はやっぱり待ち合わせ場所には最適なようでまばらに人が立っていた。
正門を入ってすぐの花壇の石垣に座り、スケッチブックと鉛筆を取り出し、iPodからstartlineの曲を流して準備完了。早く描いてなるべく早めに帰ろうと思ったから予定より早めに出てきた。気合入れて描こう。
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「……ふぅ」
しばらく描いていると手が冷えて動かなくなってきた。
はあっと指先に吹きかけた息が白い。両手で鼻を覆うようにしてその掌にも息を吹きかける。
ポケットから使い捨てカイロを取り出して両手でくしゅくしゅすると痺れたような感覚になり、じんわりと温まっていくのがわかる。
暖かいお茶でも飲もうかなとトートバックに手をかけた時、隣に座っている人の気配を感じた。
「やっと気づいてくれた」