重ねた嘘、募る思い
昼休みを潰して自部署に戻って来たわたしはデスクでパンをかじりながら真麻にメールをした。
イブの日、一緒にテーマパークへ行こうとメッセージを送ると『ありがとう』と簡単な返事が戻って来た。きっと仕事が忙しいのだろう。
真麻も好きで忙しいわけではない。彼氏が浮気したのも真麻のせいではないはず。
チケットはクリスマスプレゼント代わりにしようと思っていたし、T-Bランドのクリスマスパレードやイルミネーションも一度は見てみたかったからちょうどいい。
うちの職場の一階にはコーヒースタンドがある。そこのカフェオレが無性に飲みたくなった。
疲れていると甘いものを欲してしまうのはわたしだけではないだろう。
財布を持って立ち上がると、待ってましたと言わんばかりに「ついでに買ってきて!」と手をあげる人が続出する。
立ってるものは親でも使えじゃないけど、買いにに行くのはいつもわたし。うちの部署ではわたしが一番の下っ端だからしょうがない。
希望をメモしてお盆を手にする。わたしが足を負傷していることなんて誰も気にかけていない。
気にされても逆に困るから、いつも通りのこの日常がわたしは嫌いじゃなかった。