重ねた嘘、募る思い
その週末の金曜、昼休みに陽さんからメールが来た。
『明日も絵を描きに行くの?』
たったひと言だけど、送信者の名前を見て胸が高鳴ったのはきっと気のせいじゃない。
はい、と答えてもいいのかわからない。
もし行くと言ったらまた陽さんは来るのだろうか。
そんな淡い期待とその先に見える未来への不安が入り交じっていた。
あの日、確かに楽しかった。その思いに偽りはない。
わたしの作ったものをあんなにおいしそうに食べてくれて、楽しい話もいっぱいしてくれた。
音楽を聴きながらじゃなくても楽しく絵が描けた。
また一緒に絵を描きたい。正直に言えばそうだ。
だけど陽さんが好きなのは真麻だ。攻略方法を教えてほしいと言われたのだから間違いはない。
それなのになんであの日、陽さんは真麻のことをなにも聞かなかったのだろうか。
本当は聞きたかったのかもしれないけど聞きづらかったのかもしれない。聞きにくい雰囲気にしていたのはきっとわたし。
頭の中がぐちゃぐちゃだった。