重ねた嘘、募る思い
用意した小さな土鍋に卵とほうれん草と葱の雑炊を作ろうと思っていたんだけど冷蔵庫に鮭フレークがあったのでそれも加えた。
ほぼ空っぽの冷蔵庫。海苔の佃煮とジャム、清涼飲料水に水とビールくらいしかない。
いつも何を食べて生活しているんだろうか。
栄養バランスのいいものを食べていないから太れないのかもしれない。
真麻はスタイルがいいし、女の子にしたら背もあるほうだ。モデル体型と言っても過言ではない。ちんちくりんで横に広いだけのわたしはうらやましい限りだ。
陽さんと真麻はバランスが取れている。イブの日もそう思っていた。
誰が見てもお似合いのふたりだろう。
見た目だけでなくふたりとも優しいし話し上手だ。きっとデートも楽しいものに違いない。
それに引き換えわたしは……。
ああ、今は陽さんに食べさせることだけ考えよう。
いっぱい食べてもらって早くよくなってもらえばいい。それでいいじゃないか。
雑念を振り払うように頭をふるふると動かした。