重ねた嘘、募る思い
全然伝わってなかった。わたしの思い。
頭を下げたままがっくりと肩を落とす。もう顔をあげるのもめんどくさかった。
そうだ、真麻は天然だったんだ。勘が鈍いとでも言おうか。
「逆ならわかるけど、いくら熱で浮かされてるからってそれはありえないでしょう」
逆……?
あははっと声を上げて笑う真麻は一体何を言っているのだろうか。
うん、とりあえず怒ってはいないみたい。
それにはほっとしたけど、激しい勘違いをしている気がする。
だって自分の恋人(陽さん)が間違えて従姉妹(わたし)を抱きしめたってことの事実が伝わってないんだもの。
恐る恐る頭を上げてみると、陽さんと真麻がわたしを見つめていた。
まるでおかしいのはわたしと言わんばかりの視線が向けられているような気がする。しかもそれが痛い。気のせいならいいんだけど。
「なんで、のんは私と間違えられたと思ったの?」
笑いを堪えようと必死な真麻と少し膨れたような表情の陽さん。
なんだか全然理解できなくて首を傾げる。
あれ、わたしの決死の謝罪はもしかして伝わっているのかもしれない。でもなんだか辻褄が合わない。
なんて言ったらいいかわからずおろおろするわたしを見て、真麻がさらに笑いたそうにしている。